「未経験歓迎」と書く会社は多い。ただ、その中身が公開されていることは、あまりない。イケメンの育成は、代表が自分で通った道をそのまま教材にしたものだ。
01教材の正体は、代表の学習ログ
代表の沼倉は、完全未経験の状態からプログラミングの独学を始め、約3,000時間を投じた。月間にすると約300時間。その全過程の履歴を残し、体系化したものが約380講義のカリキュラムになっている。
僕がゼロから学んだやつを全部履歴に残しておいて、それをこうやって体系化して380講義ぐらいにまとめているやつがあるんですよ。
もともとは法人向けのリスキリング研修として販売する予定だった。ただ「これが本当にいいかどうかは主観ではダメで、客観的な結果が必要」という理由から、まず自社で検証することになった。それが現在のエンジニア組織の始まりだ。
021か月の中身
入社後の流れはシンプルだ。就業時間中にカリキュラムを見ながら、自分で作ってみる。それを反復する。
この流れで、全部これを就業中に、週5で働いている出勤中に見ながら自分で作ってみるというのを反復で繰り返していけば、プログラミングに関しては1か月くらいである程度のものができるようになると思います。
重要なのは、学習と実務が分離していないことだ。カリキュラムを一周してから現場に出るのではなく、実際の案件を触りながらカリキュラムに戻る。最初に任されるのは、無償で提供している小規模な開発案件であることが多い。失敗しても顧客への影響が小さく、それでいて本物の要件がある、という理由からだ。
03毎週金曜13時30分、社内商材研修
育成はカリキュラムだけではない。毎週金曜の13時30分から、全社の「社内商材研修定例」がある。この会議は2026年8月時点で137回を数える。
内容は固定カリキュラムではなく、各自が直近の案件で学んだことを持ち寄る持ち回り制だ。設計思想は、代表の依頼の言葉に表れている。
直近の案件とかで学んだこと、いっぱいあると思うんで、そこが欲しかったんですよ。僕も知らないことを今クライアントワークでやってくれてると思うんで、そこを普通に共有してほしい。
なぜ毎週やるんですか。
結局、毎週僕らのレベルが上がっていかないと、戦える層がずっとローレイヤーばっかりになっちゃうので。みんなで学んでいきたいなという。
会議の冒頭には、毎回この一言が置かれる。「これ、ちょっと分からないところがあったら、僕のことを遮ってちょっと質問してほしくて」。
04ロープレは「詰まらせる」ためにやる
営業側の育成で特徴的なのが、ロールプレイングの設計だ。目的は「うまく話せるようになること」ではない。どこで詰まるかを特定することにある。
- ① 本番で出るであろう質問を、頭から浴びせる
- ② 詰まった箇所を、そのまま欠陥として記録する ——「全然詰まってOKなんで。詰まってひねっても出てこなかったら、そこがやっぱり解決するべき部分なので」
- ③ その場でAIに補完させ、資料と台本に落とす ——「あとで直すために今AIを入れてるんで、詰まった部分もピンポイントで補足していく」
- ④ 数日後、同じ相手ともう一度やる
実際のロープレでは、代表が横で聞きながら、事実の誤りをその場で訂正する。顧客役は容赦なく突っ込む。「これは、うちが何か得する内容なんですか?」「出先で申請作業とか、そういうのってありなんですか?」——本番で聞かれて困る質問を、先に社内で浴びておく形だ。
05「思ってて」で止めない
研修の場で繰り返し出てくる言葉がいくつかある。
- 「思っててで止まっちゃうと意味ないんで」 —— 気づいたことは、その場で提案か行動に変える
- 「なぜ、みたいな部分は絶対に明確にしたほうがいい」 —— 却下するときも、理由をセットで言う
- 「7分あるんで、7分で終わらしちゃいましょう」 —— 宿題にせず、会議の中で片付ける
- 「ただ抜けてたら意味ないです。結局Claudeを使っても」 —— AIは前提。ただし出力の確認は人がやる
褒めるときの作法も共有されている。あるメンバーが営業文面を自主的に改善したとき、上長が言ったのは「打ち合わせのときに、そこの部分をちょっと評価してあげてください。そうしたら『あ、いいことなんだ』と思って学習して、またやってくれると思うので」だった。
06分からないときの、正式な逃げ道
全社の会議は録画・文字起こしされ、社内のナレッジ検索AIから横断で引ける。上司の指示が理解できなかったときの手順も、会議の中で明示されている。
この議事録をAIに読み込ませて、「上司が伝えたいことの意味がどうしても私には分からないので、誰でも分かるように分解して解説してほしいです」みたいな感じで、再提出させればいい。
分からないまま止まる、が一番避けたい状態として扱われている。同じ理由で、オンラインの作業ルームが常時開いており、そこに入れば手が空いている人にすぐ聞ける。「そういうときは、もうそこを活用してガンガン聞いちゃっていいですよ」。




