前編では、24歳で約6億円を背負った経緯と「かっこいいを再定義する」という理念について聞いた。後編は、その理念を支える足元の事業について。なぜ広告の会社が、システム開発をやることになったのか。

01まず、経済的なイケメンになる

現在の事業を教えてください。

2つあります。ASP事業という成果報酬型の広告の仕事と、システムの受託開発事業です。ASPは今は縮小というか、現状維持ですね。始めたきっかけも、例の詐欺の事件でお金を持っていかれたあと、マネタイズできそうなものがアフィリエイト系だったから、というだけで。正直あまりイケメンと関係がないんです。

ではなぜシステム開発を。

理由は2つあって。1つは、経済的なイケメンをつくると言いながら、僕自身が経済的なブサメンなわけじゃないですか。まず会社の資金回りを健全化しないと、外面にも内面にも投資できないし、内面のイケメンとは何かという研究開発にすら予算を割けない。もう1つは、イケメンの構造化には何十個もサービスをつくらないといけなくて、それを全部外注したらコストが半端ないことになる。だったら最初から開発を内製化しておこう、と。

お客様の像は。

規模でいうと数億から、多くても100億いかないくらいの会社さんが多いです。従業員は1名から90名くらい。業種はあんまり関係なくて。1,000万円くらいのシステム開発って、従業員を増やすよりシステム化したほうが安いんじゃないか、と潜在的に思っていた会社さんが、それに気づくタイミングで発注が来るんですよ。だから業種じゃなくて、フェーズなんです。

023,000時間の学習ログを、380講義にした

エンジニア組織はどうやってつくったんですか。

まず僕自身が、完全未経験からプログラミングを独学で3,000時間くらいやりました。その履歴を全部残していて、だいたい380講義くらいにまとめてあります。完全未経験だった僕が1年ちょっとで、ある程度のものが作れるようになった。だったら、未経験の人材に同じルートをたどってもらえたら、僕みたいになれるだろうと。

実際に試したんですね。

はい。もともとこのカリキュラムは、法人さん向けのリスキリング研修として売ろうとしていたんです。ただ、これが本当にいいかどうかって主観じゃダメで、客観的な結果が必要じゃないですか。だからまず自社で試すことにして。直前までアルバイトをしていました、という方に入ってもらって、実務も含めて1か月くらい集中してもらうと、経験者と同じアウトプットが出せるようになるんです。

再現性はどのくらいですか。

辞めてしまった子も含めて13〜14人にやってもらったんですけど、今のところ全員できるようになっています。もっと増えたら分からないですけど、今のところは100%です。

カリキュラムにはかなり自信があるんですけど、まずこれで結果を出せるのかというところが肝だと思っていて。それを自社で1年やってきました。

沼倉 隆平

現場ではどのくらいのアウトプットが出るんでしょう。

うちのエンジニアだと、動く300万円クラスのシステムを、だいたい月に20個くらい作れます。AI時代なので全然可能なんですよ。

03「これ、俺絶対乗れるわ」

AI駆動開発に振り切ったきっかけは。

もともとChatGPTでコードを書き始めたころに少し触っていて、メールの自動送信ソフトとかを作ってみたんですけど、何が悪いかを調べる勉強が必要で、面倒だなと思っていたんです。それが2025年の6月ごろに、パソコンのCLI──黒い画面ですね──とAIをくっつけられるようになって。この黒い画面はパソコンのフォルダを縦横無尽に駆けずり回れる権限を持っているので、「あ、Web上のサービス、これ全部こいつ経由で触れるぞ」と気づいて。

TikTokの波とか、YouTubeの波とか、いろいろあったと思うんですけど。これ俺、絶対乗れるわって、ちょっと確信が入っちゃいまして。そこからめっちゃやりました。

沼倉 隆平

もともとITの素養はあったんですか。

高校が工業系で、電子技術研究部でロボットを作っていました。C言語もやりましたし、ハードのほうは旋盤やボール盤を回して。ただ今はまったく生きていなくて。「もともと英語を学んでいたけど今はドイツ語を使っています」くらい違います。ジャンルとしては近い、という程度ですね。

AIに置き換わらないものは何だと思いますか。

意思決定は絶対にAIがやらないです。あとは現場を経験している人間の脳にしか溜まらない情報。工場のベテラン社員さんの頭の中にある暗黙知みたいなものは、絶対に機械には置き換わらない。手を動かして、クライアントワークをして、感情のやりとりをして積み上がっていくデータは置き換わらないですね。あと発想力、掛け算みたいなものもAIは無理です。ないものを作る系は、しばらく難しいと思います。

「AIに丸投げすれば作れる」わけではない。

AIに全部丸投げして5,000万円のシステムが作れるかというと、やっぱり全然無理です。自分でやっていて思います。だからこそ、AI時代の共存というか、そこら辺のスキルがつく仕事だと思っています。

04実際に作ってきたもの

  • VETERAN AI(社内ナレッジ検索) — LINEやChatworkなど複数のツールに散らばったチャット履歴・議事録・ファイルを1つのAIに集約し、出典付きで回答する。導入企業の1年分の情報を横断できるため、副次的に「その会社がどこでつまずいているか」まで見えることが分かってきた
  • AI議事録ツール — 会議の内容をアクションアイテムまで分解し、顧客管理シート・代理店管理シートへ自動で起票する
  • 図面管理・見積システム(板金業) — メール・FAX・LINEでバラバラに届く図面を集約し、画像認識で自動製図。最適な材料をネットで検索し、面積単価から見積もりまで自動生成する
  • SES企業のマッチング自動化 — 1日4万通のメールを人が読んでマッチングしていた業務を自動化
  • 福祉(グループホーム)事業者の横断ツール統合補助金申請サポートの自動化ツール など

印象に残っている案件はありますか。

板金屋さんの図面管理・見積システムですね。発注するかも分からないのに見積もりを頼んでくるお客様が多くて、でもそれをやらないと発注につながらないから、仕方なくずっとやっている、という状態だったんです。図面もメール、FAX、LINEといろんな経路で来る。そこを全部AIに集約させて、画像認識して、自動で図面を起こして、最適な材料を検索して、単価から見積もりまで出す。人がやっていた作業がそのまま置き換わりました。

05この先つくりたいもの

今後の展開は。

軸は変わらなくて、外面・内面・経済面に関係するものだけをやります。外面だとパーソナルジム、美容室以外にクリニック系、あとファッション。お店で「これかわいい」と撮った服を、自分のアバターに着せて3Dで見る、みたいなものはもう他社さんの看板で動き始めています。内面は研修や、100問くらい答えるとその人の中身が見える見極めの仕組み。経済面は人材紹介や派遣、それとスクール事業ですね。開発とマーケティングの2つです。

スクールは自社の業務から生まれている。

そうです。マーケも開発も、経営に必要なインフラなので、そこをちゃんと構造化して、再現性を100%くらいまで持っていきたくて。日々の業務改善が、そのままスクールの教材になっていく感じです。

誰もやっていないことにも挑戦するんですか。

失敗しないためには二番煎じをどんどんやりたいんですけど、二番煎じだけではイケメンの構造化は難しいと思っていて。たとえば、ユーザー自身にKPIを決めてもらって、未達だった分だけクレジットカードから自動で引き落として、募金される、みたいな仕組みを考えています。失敗がリフレームされて、社会貢献に変わる。人間ってペイン・アンド・プレジャーで、苦痛だけでも快楽だけでもダメなので。

06「全然、勝ち馬じゃないので」

いまのフェーズでイケメンに参加する面白さは何でしょう。

全然、勝ち馬じゃないので、僕ら。本当にイケメンの構造化ができないかもしれないですし。ただ、その過程が楽しいと思えるような、ものづくりが好きな人。あとは誰かの役に立つことが、たぶんめっちゃ増えるので、そこで脳汁を出したい人は相性がいいと思います。

スキル面で得られるものは。

僕が基本やることって、他社のパクリか掛け算なんですよ。丸パクリはもちろんしないんですけど、参考にして、それをスパイスにして、自分のスパイスも入れて掛け算する。アインシュタインの相対性理論も、元々あった2つの理論の掛け合わせだと言われていて、ChatGPTの仕組みも、過去にあった技術の集合体なんです。すごく新しい技術というより、掛け算を早く見つけたやつが新しいサービスや概念を作る。そこはかなり意識していて、珍しい経営の仕方だと思うので、そこは学べると思います。

キャリアの先には何がありますか。

まだ人数が少ないので、経営陣寄りに全然なっていただけます。子会社も、最終的にはサービスの数だけ作っていきたいので、子会社の社長はなるべくたくさん欲しいんです。何十人という社長をイケメングループの中で作りたいと思っていて。要は、幹部側になりやすいということですね。

夢を見続けたい、ドーパミンを出し続けたいみたいな人は、めっちゃ相性がいいです。

沼倉 隆平

創業の背景と、代表自身の挫折については前編で聞いている。

話を聞いてみる

選考ではなく、まず面談から。挫折の経験がある方ほど、一度お話ししたいと思っています。

エントリー・カジュアル面談