01「まずは全員が見えるところで、使い切る」
イケメンには、社内向けのAIがあります。LINEやChatworkに散らばったやり取りや、会議の記録をまとめて読み込み、「あの件、どうなってる?」と聞くと、出どころつきで答えてくれる仕組みです。
10月の幹部定例で、このAIにどこまでの情報を読み込ませるかが話題になりました。いまは一部の部署のやり取りから読み込んでいて、本来はすべてのやり取りを取り込み、見られる人を段階で分ける設計です。範囲を一気に広げる道もありました。
亀山さんの答えは、広げる前に、まず使うことでした。
まずは全員が見られるところで運用してみて、社内でまず使う、という部分をクリアしてからでいいと思います。まず使い切ってからのほうがいい。
ツールは、入れた瞬間に価値が出るわけではありません。みんなが毎日使うようになって、初めて意味を持ちます。代表の沼倉も、別の定例で同じことを言っています。
外に提供するには、まず社内で「いいものだ」と言えるようにしていかないといけない。
システムは「作って終わり」にすると使われない、という話は、代表のコラム「作って終わり」にすると、だいたい使われない。でも書いています。社内のツールでも、まったく同じことが起きます。

02現場で見つけた使い方を、その日のうちに共有する
社内でAIの使い方を広げている一人が、行田さんです。行田さんは役者からイケメンに入り、いまは複数の事業の進行管理を担っています。
担当が増えると、チャットの通知がひっきりなしに届きます。そこで行田さんは、お客さんとのチャットの履歴をAIに読み込ませて、進み具合の管理表をAIに更新させるようにしました。9月の技術定例では、その一歩先の使い方を共有しています。
文面を考えさせるときも、前回送った文面をベースにして、各グループの前後の文脈を踏まえて微妙に変えて、と言うと、ちゃんとそのグループの話を拾ってくれるんです。
ただし、そのまま送ることはしません。
送る前に、一回は目視でチェックします。
お客さんに送る文面は、AIで整えてから送る。これは、亀山さんが社内の全員に伝えているルールでもあります。行田さんの工夫は、このルールを楽に、早く守るための方法になっています。
同じ定例で、行田さんはほかにも小さな工夫を二つ共有していました。
- チャットのグループに、会社の公式LINEを1つ入れておく。 そうすると、わざわざ履歴を書き出さなくても、AIがグループのやり取りを読み込める。
- Chatworkは、直近100件までならAIが自分で読みに行ける。 それより前は遡れないので、こまめに読み込ませておけば、過去の分も含めて最新の状態を保てる。
どちらも、知っていれば明日から使える工夫です。こうした小さな発見が、定例のたびに持ち寄られていきます。
03定例は「壁にぶつかった話」をする場所
こうした共有が生まれるのは、話せる場所があるからです。イケメンでは毎週の定例で、新しく見つけた使い方や、困っていることを持ち寄ります。9月の定例の終わりに、亀山さんはこう話していました。
自分がこういうことをやっていて、壁にぶつかってしまった。そのときに他の人に相談して、解決した。そういう話でもいいんです。何かしら話せると、自分を売り出すときに絶対に役に立ちます。
前向きに発言する人はどんどん評価したい、とも亀山さんは言います。うまくいった話だけでなく、つまずいた話にも価値がある。それを口に出せる場を、会社として用意しています。

04頭の中のルールを、誰でも見られる形に
亀山さんがもう一つこだわっているのが、ルールを見えるようにすることです。5月の定例では、お客さんとのチャットのグループ名の付け方が話題になりました。数が増えてから付け方を変えると、管理が大変になるからです。
これまで頭の中や口頭でやり取りしていたルールや決め事を、ルールブックのような形で保管して、スタッフが気になったときにいつでも見られる環境を、まずはアナログでもいいので作りたいんです。
グループ名の付け方がそろえば、人が探しやすくなるだけでなく、AIも読み取りやすくなります。9月の技術定例でも、グループ名の付け方さえ決めておけば、AIがお客さんごとのやり取りを取り違えずに済む、という話が出ていました。人のための整理が、そのままAIを使いやすくすることにつながっています。
亀山さんはこの先も見ています。開発の仕事が一斉に動き出し、人も増えていくと、進み具合の報告がばらばらになっていく。だからこそ、早いうちに決めごとを定例で話し合っておきたい、と9月の定例で話していました。
05イケメンの、AIとの付き合い方 3つの習慣
二人の言葉から見えてくる習慣を、3つにまとめます。
- まず全員で使い切る。 広げるのは、みんなが毎日使うようになってから。
- AIに任せても、最後は人の目で見る。 お客さんに届くものは、送る前に必ず確認する。
- 見つけたことは、その場で共有する。 うまくいった話も、つまずいた話も、定例に持ち寄る。
亀山さんの「まず全員で使い切る」と、行田さんの「送る前は自分の目で見る」。向きは違って見えますが、根っこは同じです。AIに任せられるところは任せて、人は判断と確認に時間を使う。
新しく入る人に求めているのは、最初からAIに詳しいことではありません。使ってみて、つまずいたら相談して、見つけたことを共有する。その繰り返しに加わってもらうことです。




