01無料開発は、フォームから始まる

無料開発は、お客さんの困りごとを聞いて、小さな業務システムを一つ無料で作る取り組みです。まず実際に使ってもらい、気に入ってもらえたら、そこから機能を足していきます。

入り口は、一枚のフォームです。お客さんは、作りたいものに近いものを選んで送るだけ。

フォームをお送りして、業務の自動化か、ダッシュボードか、予約やスケジュールか、作りたいものに近いものを選んでいただく。送っていただくと、それが私たちのところに届きます。

— 佐藤さん/お客さんとの打ち合わせ(2026年7月)

フォームは、内容によっては「この範囲だと難しい」と判断を返します。それでも、そこで話を終わらせません。

難しいと判断されるものもあるんですけど、そのまま開発を進めていくことはできます。

— 佐藤さん/お客さんとの打ち合わせ(2026年7月)

実は5月の会議では、この「難しい」が自動でお客さんに通知されてしまう設定が話題になっていました。せっかく興味を持ってくれた人を、仕組みのせいで帰してしまわないように。入り口の小さな設定から見直しています。

02最初の打ち合わせで「作るもの」を決める

無料開発でいちばん大事なのは、作り始める前です。以前は、納品の場で「あれが足りない」「これも欲しかった」という声が続くことがありました。そこで、最初の打ち合わせのやり方を変えました。

一回ミーティングを組んで、この機能を作りますよ、という分かりやすい項目をHTMLで見える形にして、相手に送っておく。

— 佐藤さん/社内の技術定例(2026年8月)

打ち合わせの内容は、自社の議事録AIで記録し、そこから要件定義書を作ってお客さんに渡します。「何を作って、何を作らないか」を、始める前にお互いの目で確かめておくわけです。

大きな依頼で、うまくいかなかったこともあります。無料の範囲で作れるのは、ほんの一部だけ。それを最初に伝えきれていませんでした。

ゴールが十あったら、一しかできない。だから最初に、全体のゴールを示しておくべきでした。

— 佐藤さん/社内の定例(2026年7月)
暗い机の上で一部だけ光る封筒の束

03AIと組んで、12時間で形にする

作るものが決まったら、開発です。ここでは、AIの使い方に佐藤さんらしさが出ます。まず自分が完成のイメージをつかみ、そのうえでAIに指示を作らせます。

要件定義書を一回見やすくして、ああ、こういうのを作るんだなとイメージを自分の中に入れてから、最適な指示文を作れ、とAIに言うんです。

— 佐藤さん/社内の技術定例(2026年7月)

設計しているのはAIの側なので、質問もAIに作らせたほうが一番いいと思っています。

— 佐藤さん/社内の技術定例(2026年7月)

ある案件では、開発そのものはおよそ12時間で形になりました。動作の確認や不具合探しも、ブラウザを操作するAIに任せます。人がやるのは、できあがったものが本当にお客さんの役に立つかを確かめるところです。

04納品は、終わりではない

納品の場には、開発を担当したメンバーも一緒に出て、機能を説明します。作った本人が話すのがいちばん伝わるからです。

そして、納品してからが本番です。

二週間で納品しても、だいたい一か月ぐらいは修正があります。だから追加のオプションは、最初から準備してお伝えしたほうがいい。

— 佐藤さん/社内の定例(2026年8月)

一回ちゃんと納品したあとに使ってもらって、一、二週間後に、次はこう進めましょうよ、というお話をする流れです。

— 佐藤さん/社内の定例(2026年7月)

使ってもらう前に次を売り込むのではなく、使ってもらってから次を話す。無料開発が「お試し」で終わらず、長い付き合いにつながっていくのは、この順番を守っているからです。

手書きの便箋と万年筆、その横で光るノートパソコン

05知ってもらうまでの、試行錯誤

良いものを作っても、知ってもらえなければ始まりません。佐藤さんは、無料開発の案内を何通りも試し、数字を見ては変えてきました。主なものを並べます。

試したこと結果変えたこと
LinkedInで3日間に94件つながりを申請承認は3件申請する相手と送り方を見直し、7月には1週間で51件の承認に
LinkedInのメッセージで、いきなりフォームへの回答をお願い12人に送って回答は0件「まずは面談させてください」と日程調整のリンクを送る形に変え、面談が入るように
Threadsの投稿に「コメント欄をチェック」と入れる閲覧が伸びない誘導の一言を外したら、閲覧が約20倍に
AI・開発系のコンサル会社に案内話がかみ合わない建設・製造の会社に絞り直す
案内の最後に日程調整のリンクだけを送る話しても実務の話に進まない先にLPを見てもらい、中身を知ったうえで話す形に

どれも、一度で当たったわけではありません。試して、数字を見て、変える。その繰り返しです。

06数字で考え、人の言葉で届ける

佐藤さんは、ひと月ふた月で判断を急ぎません。6月の会議では、こう話していました。

6月、7月とやってみて、数字を見て、8月以降のやり方を固めていく。

— 佐藤さん/社内の定例(2026年6月)

無料なのに申し込みが伸びない理由も、冷静に見ています。

結局、必要性が弱いというところが大きいと思います。

— 佐藤さん/社内の定例(2026年6月)

無料かどうかより、「それがあると自分の仕事が楽になる」と思えるかどうか。だからこそ、最初の打ち合わせで困りごとを聞き、作るものを一緒に決めることを大事にしています。

そして、AIを使い倒す一方で、人にしかできないことも分けています。

AIが作ったものより、人間が作ったストーリーのほうが、やっぱり信頼度があると思うんです。私たちが提案できるのは、人が集まってくる入り口をつくるところです。

— 佐藤さん/お客さんとの打ち合わせ(2026年7月)

07佐藤さんの仕事の進め方

  • 作る前に、作るものを見せて合意する。 納品のあとの「足りない」を、最初に防ぐ。
  • AIには、自分のイメージを持ってから指示する。 指示文も質問も、AIに作らせていい。
  • 納品してからが本番。 使ってもらって、1〜2週間後に次を話す。
  • 試して、数字を見て、変える。 当たらなかったことも、そのまま共有する。
  • 人にしかできないことは、人がやる。 信頼をつくるのは、人の言葉。

派手な技術の話ではありません。でも、無料開発という入り口が回っているのは、こうした一つひとつの積み重ねがあるからです。

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